君が躓いた後ろで 誰かが怪我を心配している

たまたま、通りかかった。 何かが、当たる鈍い音がして。 めんどくせェことには首を突っ込まないのが鉄則。 だが、そんときばかりは何だか胸騒ぎがして。 「クソ狐」 「疫病神」 「クズ」 「あの人の事も誑かしたんだろ?」 「貧乏くじを引いて」 「誰もお前を必要と何てしてない」 「死んでしまえ」 「死んで償え」 耳に届いた、酷いノイズ。 大の大人が寄ってたかって、何かを蹴りまわしている。 それが、何か、ではなく、誰か、であると気が付いたとき。 全身の血が沸騰するかと思った。 金色の髪は、土と血に汚れ。 空色の瞳は、固く閉じられ。 細く小さな四肢は、ぐっと丸められている。 「…ゃ…んだよ。…何やってんだよ!!」 音になった声は、震えてた。 「あ?」 振り向いた大人たちは、俺を一瞥して、俺の存在を無かったことにした。 止まない、罵詈雑言の嵐。 止まない、暴力の雨。 どうして、この手には力が無い。 どうして、この手は好きな人さえ守れない。 どうしてっ! 「んなもん、強くなって次は助けりゃ良い」 一陣の風が吹いて。 目の前には、でかい熊と、蹲った思い人。 そして、無造作に飛びちった大人たち。 「今のお前にゃ、荷が重い。俺は優しいから、今日のことを忘れろとは言わねぇ。 ま、とりあえず。今日はさっさと家に帰って、糞でもして寝ろや」 そういって、俺の担当上忍はナルトを軽々と担ぎ上げ、白い煙とともに掻き消えた。 取り残されたオレは、握り締めた拳から血が流れ落ちても、そこから動けなかった。


2番手はシカマルです。 今は、力も、地位も、権力も持ってますが。 アカデミー卒業したての頃は、何にも無くて。 大切な人を守る力を持ちたい。 今が無くて、次がどうして助けられる? なんて、めんどくせぇことが大嫌いなシカマルが。 ちょっと、がんばってたらいいなって。 そう思ったのです。

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