火影邸の奥深く、離れのほうから小さな歌声が聞こえた。 それは、小さくて、けれどきらきらと輝いていた。 身体の内に、蟲を飼う自分のことを気味が悪いとさけるものは後を絶たなかった。 名門だといわれようが、幼かった俺には、寂しかった。 けれど、その感情も次第に薄れ。 一人、森の奥深くへ行くことが増えた。 ある日、鼓膜を揺らしたキラキラとした音。 その音色に誘われるように、森の更に奥へと進んでいった。 何の歌なのか、俺は知らなかった。 けれど、その音色はとても綺麗で。 細く、高い、子供の声。 来る日も来る日も、その音色に惹かれて森を駆けた。 そこが、火影邸の離れであることを知ったのは、うんと、大きくなってから。 その歌を歌っているのが、誰なのか知らなかった。 いつの日からか、歌はぱたりと聞こえなくなり。 次第に、その森の奥に行くことも少なくなった。 ある日の3班合同任務。 耳に届いたのは、懐かしい、あの旋律。 歌うのは、同期で一番小さな金色。 記憶のあの高い音は、少し低くなっていたけれど。 キラキラした音色は、より一層、輝きを放っていた。 口に浮かぶのは、久しぶりの穏やかな笑み。 思わず、口ずさめば、金色は小さく驚いて。 太陽のような笑顔を返した。
折り返しです。 3番手はシノ君。 寡黙な彼が静かな笑みを浮かべるのを想像して、 ちょっと、身悶えました。 か、か、かっこいい。 森の奥まで遊びに行くのは誰だ!? で、直ぐに出てきたシノ君。 二人の内緒の思い出なのです。
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