君が嘆く後ろで 誰かが君を愛している

「いかないでっ、おいてかないでってば!!」 「やぁの、やぁの!!」 「なるをひとりにしないでっ」 「なるもっ、なるもつれってって」 「ひとりぼっちにしないでってば、いたにぃ!!」 その子と出逢ったのは、もう随分と前のこと。 三代目火影に、特別任務だと通されたのは、火影邸の離れ。 それも、何重にも封印やトラップが仕掛けられた最奥。 小さな離れの縁側に座る幼い子供。 名前を呼ばれて、こちらを向いたその瞳に光は無かった。 その瞳に惹かれ。 短いときを一緒に過ごした。 遊びも。 食事も。 言葉も。 ただ、キラキラと輝いた時間だった。 ナルトが一番好きだったのは、異国の唄。 声変わり前の高い声が、庭に響いて。 幸せだった。 別れを一方的に突きつけたのは俺。 泣いて、服の端を握り締めた小さな手。 一人になるのがイヤだと、必死に抱きついた細身の身体。 切り傷も、打ち身もたくさん負って。 舌っ足らずな言葉も、高い声も。 涙で濡れた蒼い瞳も、赤くなった鼻も。 君なら、何でも愛おしかった。 それでも、ここに居ては、君を救い出せないから。 「ナルト君、愛してるよ。誰よりも」 君が最後に見たのは、血塗れたうちはの瞳。 記憶を消して、この里に君を置いていく。 一緒に連れてはいけない。 それだけの力を持っていない自分が歯がゆい。 けれど、必ず迎えに行くから。 黒のマントに、赤い東雲模様。 笠を外して、久しぶりに見る木ノ葉の里。 「ナルト君、迎えに来たよ」


4番手は、イタチ兄さん。 愛を与えて、でも、置いていく。 二人だったのに一人にして。 一番残酷なことをした人ですよね。 (妄想の中ではね) でも、イタナル好物です。

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