鳥籠

『雷帝』そう呼ばれて恐れられていた俺たちの帝王。 その名はアイツには重過ぎる名前だったのかもしれない。 誰よりも優しくて、自分よりも相手のことを考えてしまうようなアイツには。 しかし、それでも俺たちは・・・・・・・。 その事を知っていながらアイツにその場から降りる事を許さなかった。 己の心に雨を降らし続けるアイツを見ながら何も出来ないで居た。 一番近くにいたのに・・・・・・。 誰よりもそのことを俺たちは知っていたはずなのに。 気付いていても、知らないふりをして。あいつの優しさに付け込んでいた。 痛みをアイツに全部押し付けて。 俺たちにはアイツを本当の意味で幸せにする事なんて出来なかった。 『昔々。無限城と言う鳥籠の中にとても美しい小鳥が居ました。 甘い、トパーズ色の羽。お日様の色をそのまま貰ったような甘い綺麗な色。 その愛らしい姿は見る者を虜にしてゆきました。 皆、その小鳥を愛し、とても大切にしていました。 元は外に居たて、ひょんなことでこの無限城に迷い込んできてしまった小鳥。 しかし、この小鳥が来た事で無限城は変わってゆきました。』 何かしゃべる度に、行動を起こす度に。俺たちはその一挙一動に愛しさを感じた。 そしていつも側に居た。何一つ見逃すことが無いように。 何か変わった事があったらすぐにでも分かるように・・・・・・。 『そんなある日、外から来た者に小鳥は出会いました。』 俺たちの小鳥は外の世界に再び興味を抱いた。 そして、恐れていた事が起こった。 小鳥が、この無限城から飛び立とうとしたのだ。 だから俺たちは、その小鳥の体を組み敷いた。 嫌がるその声を手で塞いで。聞こえないふりをした。 透き通った瞳から流れ落ちてゆく涙も気にせずに・・・・・。 ただ、小鳥にあの日のことを忘れさせるように。 ただ、それだけの為に俺たちは償うことの出来ない大きな罪を犯した。 そして、その羽をもいだ・・・・・・――――。 二度と、ここから飛び立つ事が無いように。 俺たちの前から決して消えないように。 ずっとここに居させるために。縛り付けるために。 残ったのは、罪悪感と痛々しい体をした小鳥。 その瞳には何も映さず。笑う事さえも無い。それは俺たちがしたこと。 自分たちのエゴのために、小鳥の自由を奪った。 それでも、その小鳥がここに居てくれるのなら。 『仕方ないことだった。』  そう言って、自分たちを正当化して暮らした。 しかし『神様』は良く見ている。傷ついた小鳥に新たな白い翼を与えたのだ。 白く、何処までも白い、純粋な小鳥にピッタリな翼。 大きな、何処まで飛んで行けるような翼。 その翼を使って、俺たちの小鳥は再び外の世界へ飛び立った。 力強く羽ばたき、憧れていた大空へ。 大好きな外の世界へ。 大好きなアノ人の下へ。 小鳥の居なくなった無限城は荒れ果てた。秩序も何も無い、狂った世界に。 小鳥が居た頃の笑顔があるような事はなくなった。力でねじ伏せるような世界に。 強いものが何もかもを仕切ってしまう世界。 綺麗な心を自分の中に埋め込んで、何も無かったように振舞う。 何もかもが歪んで、色々なところから軋んだ嫌な音がする。 これは『罰』だ。俺たちが小鳥にした罪に対する・・・・・。 それでも、願わずに居られない。 小鳥が再び戻ってくる事を・・・・・・・・・・。 もう、戻ってこない小鳥。 ホントウに―――― ―――――二度と戻ってこないのか? 再びこの地に戻って、笑いかけてはくれないのか? ありえないと分かっていてもそれが起こる事を願わずに居られない。 心がお前を求めてやまない・・・・・・・・・。


終わった。痛い話だったなぁ。が感想ですね。 小鳥君の正体は分かってもらえたと思うのですが? 分からない人は分からないで終わってしまうわけですし。 他にも書きながら、誰が語ってんだろうねぇ。みたいな。 本命は士度さんかな。士度さんに語ってもらいたい。 切なげに語って貰いたい。 士度にはマドカちゃんが居るけど僕は、これで良いのです。 あほな鹿嵐椎葉が語りました。

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