その場に辿り着いたとき、絶句した。 俺は、目にした光景をどう表現すれば良いのか分からなかった。 瓦礫が積みあがった里。 赤く染まった、大地。 転がる屍。 空に立ち上がる煙。 鼻をつく、鉄のにおい。 どうしてこうなったのか何て分かりきった事。 『俺の所為だ』 なぜ、連絡蛙はこのことを知らせなかった? なぜ、根の連中はいない? なぜ、俺はここに居なかった? 全てが、苛立たしかった。 「多重影分身の術!!」 無数の俺が、白い煙の中から現れ、方々に散っていった。 倒れた仲間を助け、ひとつでも多くの命を助けるため。 生き残っている敵を倒し、ひとつでも多くの命を消すため。 敵が誰だろうと関係ない。 俺のモノを壊した大罪を地獄で償わせてやる。 俺は、仲間を助けるべきか、敵を倒すべきか分からなくなっていた。 数分と経たずに、里の状況を把握した。 仲間は、死んでない。 大丈夫。 まだ、やれる…… ………ま…だ…? 影分身のひとつが大きな悲鳴をあげた。 その影が消えると同時に映像が頭に流れてくる。 ……え? そこに倒れている人物に時間が止まった。 「…カ…カシ?」 無意識に、目から何かが流れた落ちた。
エセ喪中シリーズ第一夜です。 思いつきで書きました。 最後までお付き合い下さい。
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