影分身から送られてきた、映像を振り払うために走った。 息を切らせて、そこに辿り着くと、アレがうそではない事が分かった。 そう、嘘なわけがないのに。 あぁ、これはなんだろう。 何を見ているのだろう。 傍らに倒れる、敵の屍骸。 なんて不恰好な。 こいつらが、敵か。 こいつらが、カカシを里を。 足が重くて、うまく進めない。 やっとのことで、隣に辿り着いた。 力が抜けて、膝が地を打った。 満足そうな顔で、そこに背を預けていた。 顔に触れる、まだ温かい。 首に触れる、脈がない。 まだ、助かるかもしれない。 手をかざして、意識を集中する。 医療忍術は苦手だ。 でも、やらなくてはいけない。 大丈夫。 大切な人を助けるために静かに、チャクラを流した。 影分身の自分がチョーザの治療を始める。 けれど、心のどこかで分かっていた。 それは、もう無駄なことだと。 カカシは、死んでしまったのだと。 でも、それを認めたくなくて。 認めてしまったらどうしようもないと分かっていたから。 ガラッ 前で、瓦礫の崩れる音がした。 そして、俺の敵が立っていた。 静かに、視線を上げた。 『殺セ』 静かに、静かに、目の前を赤く染めた。 見てしまったのだ、薄く哂うその口元を。 カカシに当てていた手を静かにはなす。 「せんせ、俺、ちょっと行って来るってばよ。ごめんね」 今なら言える。 臆病だった俺を殴って。 超えられなかった、一線を越えて。 もう、聞こえないかもしれない。 それでも、ただ、一言。
エセ喪中シリーズ第四夜です。 後一つ。 そういえば、お題では初めてのノマナルかも…。 うん、びっくり。
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