05 望む

望みなんていくらでもある。 毎日、あふれるくらいに。 アレもコレもみんな。 それこそ、108つなんかじゃ全然足りないくらい。 でも、でも。 ホントは一緒に居れるだけで、いっぱいの望みなんて消えてしまう。 一緒に買い物をして。 一緒にご飯を食べて。 一緒に遊びに行って。 一緒にお昼寝もして。 一緒にお風呂にも入ろう。 一緒に笑って。 一緒に泣いて。 一緒に怒って。 寝る前に、星空を見上げて。 春は、少し寒い風に吹かれて体を寄せて。 夏は、心地好い風に吹かれながら星の流れを追い。 秋は、月にちょっと邪魔されて。 冬は、白い息と少し赤くなった頬を見て笑う。 クスクスとお互いに小さく肩を揺らして笑いあう。 指遊びをするように、指を綾取りする。 くすぐったい、熱に唇が音をつむぐ。 「だいすき」 コツンとおでこをくっつける。 目の前には、大好きな人の瞳。 その瞳にこぼれんばかりの笑顔の自分。 でもね、でもね。 ”すき” を聞いた後のアナタの顔は。 優しい笑顔と、哀しみの色。 ちょっと、傷ついたような笑顔。 でも、知らん顔しておでこをグリグリする。 「痛い」って言われても知らんぷり。 ちょっと胸がチクチク痛いのは気のせい。 だって、一緒のドキドキのほうが大きいから。 土手に寝転んで。 隣から聞こえる呼吸の音。 名前を呼ぶ、自分より低い声。 鼓膜をくすぐるその声に呼ばれたらすぐ元気になれる。 でも、望んでもいいのなら。 ”すき” の言葉のあとは、とろけるくらい恥ずかしい笑顔で見て? 負けないくらいの笑顔で、迎え撃つから。


ナル君でも、相棒でも、銀ちゃんでも。 どんとこいっ。 旦那様は誰でも好きな方を。

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