表遊戯=遊戯 裏遊戯=<遊戯> にて表記
遊戯と<遊戯>の心の部屋の中。 何がどうして、こうなったのか…。 自慢のポーカーフェイスはどこにいったのか。 顔を朱に染めた<遊戯>と。 いつになく真剣な顔をして、詰め寄る遊戯。 「あ、相棒…ちょっと、顔が近いんだぜっ」 <遊戯>はなぜ、遊戯に迫られているのかも分からず。 膝立ちした遊戯が自分の両頬に手を当てたまま、じっと見つめてくる。 それも”かなり強烈に”だ。 嬉しい。この状況は確かに嬉しい。 とてつもなく、嬉しい場面のはずなのにっ! 『どうして、俺は逃げ腰なんだ!!』 いつも恥ずかしがって、顔をそらす相棒が、今日に限って積極的。 お互いの近さはもう、キス寸前。 ちょっと背を伸ばしたら触れられる。 悲しいくらいに、吐息が震える。 これが、キスのお誘いで。 しかもその先もOKなら今すぐ押し倒すだろう。 もしくは、このまま相棒を上に乗せたまま後に倒れても良い!! だがっ!! 今の状況はそういう感じではない。 百戦錬磨の<遊戯>にあるまじき姿である。 どうしたものかと、あたふたしている<遊戯>をシカトして。 遊戯はじっと、その瞳や、輪郭を目で追う。 頬に添えた手は、しっかりと固定されている。 顔を背けようにも、逃げられないようにと。 シャープな顎。 きりっとした眉。 強い光を灯した瞳。 少し薄い唇。 ふぅ と、小さく息を漏らすと、遊戯はすっと<遊戯>から離れた。 どうやら、満足したらしい。 そして、かわいい唇が震え、一言。 「どうして、ボクとキミは同じなのに違うんだろう?」 同じなのに違う。 違うのに同じ。 心は別の存在で。 考えることも行動も違う。 でも、同じ体を共有してる。 でもね、おかしいんだ。 どう考えても、キミのほうがカッコいいよね!? まず、どこもかしこもボクみたいに丸くない。 キミは、もっとスマートでシャープだ。 背だって、本当は同じじゃなきゃおかしいのに、キミのが絶対高い。 この前、部屋の姿見の前に立ったとき、キミのほうが少し高かった。 あれは、絶対、ボクの目の錯覚じゃないもんっ。 決闘してる姿はかっこいいし。 授業を変わりに授けてた時だって。 城之内君たちと、バ−ガー食べてる時だって。 「ボクの体なのに…」 「…相棒、俺は」 「ボクの体なのに、どうしてキミが表にいるとカッコいいのさっ!!」 「っぁ!?」 頭の中が真っ白になるとは、まさに今のことだと思う。 相棒は、今、俺になんていったんだ? 「キミは、いつでもカッコいいねって」 まるで心を読んだかのような返事。 思考停止に陥った<遊戯>を尻目に遊戯はまた観察を始める。 見つめるだけ。 ただ、じっと見つめるだけ。 後に<遊戯>は言った。 こんなにも心臓の悪い真剣勝負は今後二度とないだろう。 と。
じっと見つめられる王様。 相棒にこんだけ見られたら、幸せだろう。 ドキドキで窒息死してしまいそうな王様が可愛い。 かっこいい王様と可愛い王様を頑張ります。 相棒は、可愛い相棒と艶っぽい相棒を目指します。
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