「あんたね、待ってるだけじゃダメなのよ?」 「…サクラちゃん」 「そんな目してても、あの馬鹿は気がつかないんだから」 「俺ってば、サクラちゃんにしておけばよかったってばよ」 「冗談言わないでよ」 友として、必死に追いかけるそいつは、簡単にナルトを傷つける。 どんなに追いかけて、言葉をかけても、その存在はとても遠い。 3年前、気まぐれでナルトの命をとらなかったのだと言った。 そして、今は、気まぐれでナルトの命をとるのだという。 なんでも、自分の思うがままになると思い上がっているのだ。 あの、うちはの生き残りは。 その血塗れた瞳は、ずっと、兄であるイタチだけを追いかけている。 一族を皆殺しにしたうちはイタチを必死に追いかけて。 つながりを断ち切るのだという割りに、そのつながりを一番欲しがっている。 いらないのなら、勝てない兄など追いかけなければいいのに。 必死にすがって、追いかけて、その目に映りたいのだ。 あの、死にたがりは。 それなのに、一生報われないのに必死に追いかけて、傷ついて。 捨てられた子犬みたいな目で、遠くを見つめても、そこには誰もいない。 君が、ナルトが追いかけるあいつはいない。 どこを探したって、もう、どこにもいないのに。 「ナルトは、なんであんなゴミ虫ヤローなんかがいいんですか?」 「サイ、もう一回いったら、ぶっ飛ばすからな」 「別に、何度でも言いますよ。真実ですから」 サイは、ナルトが必死に追いかけるサスケが正直嫌いだ。 (サスケに似ているといわれたことも原因のひとつかもしれないが。) そんなに、必死になって追いかける必要があるのかサイには分からない。 悲劇のヒロインぶって、周りを巻き込んで、のうのうとしているあいつが気に入らない。 「ナルトが傷ついてまで追いかける価値があるとは、到底思えませんけど」 「価値とか、そんなん、お前には関係ねーってばよ」 「そうですか?」 「そうなんだってばよ」 「ねぇ、ナルト。僕にしておきなよ」 「は?」 「だから、僕にしておけば、寂しい思いもしなくてすむよ」 「別に、寂しくなんてねぇし」 「無自覚なんだね」 君に、憂いなんて似合わない。 ただ、まっすぐに、馬鹿みたいに前だけを見て。 笑っていればいいのに。 こっちの胸が痛いような顔なんかしないで。 寂しさを思い出した、僕にはなんだか。 どうしようもなく苦しくて。
報われないサイが好きです。 ナル君に振り向いて欲しくて、頑張るサイが凄いツボです。 彼には、ぜひとも頑張って欲しい。 そして、サスケが里に帰ってきたら、腹黒く苛めてほしい。 「ナルトは、僕のですよ」 くらいは、かまして欲しい。 是非!!
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