20 思い出す

思い出すのは、鮮烈な蒼と金。 切り捨てたのは自分で。 傷つけたのも自分で。 あいつが俺を必死に追い掛けるようにするために。 酷く汚い言葉で傷つけた。 言葉の枷に繋がれて、俺だけを見ていればいい。 そう思っていたのに。 3年ぶりに再開したあいつ。 思い出よりも鮮烈な蒼と金。 それは、より鮮やかに輝いて。 背筋を駆け抜ける快感に、笑みが零れた。 待っていたのは、その、全てを平伏させる圧倒的な瞳。 絶対的な王者の孤独。 期待。 焦り。 歓喜。 恐怖。 様々な感情が入り交じった、傷だらけで、泥だらけの顔。 決して、綺麗とは言えない。 ただ、誰もを虜にする力を持っている。 俺だけのモノ。 チラリと脇を見れば、見慣れたピンク。 そして、見知らぬ黒いのが2匹。 銀色の元上司が見当たらなかったが、いない分には好都合だ。 その黒2匹が俺の代わりか? お前はそいつらで満足してないから、俺のことを追いかけてくんだろ? イライラする。 お前の隣に誰かがいることも。 お前が誰かを隣に置くことも。 お前は孤独の中で、俺だけを必死に見ていればいい。 俺だけを必死に追い掛けて、突け放され、蹴飛ばされ、絶望の淵に立つ姿が愛おしい。 見開かれた瞳。 渇いた声。 それは、次第に。 俺だけを真っすぐに射抜く瞳に。 俺に唯一届く声に。 久々の邂逅は、5分にも満たない時間で終わり。 あいつはきっと、大地に蹲って汚く泣くのだろう。 俺だけを思って、後悔と絶望に苛まれながら。 ただ、ひたすらに俺だけを思って。 思い出すのは、少しだけ低くなったボーイソプラノと射抜くような瞳。


歪んだ愛、万歳。 サスケはナル君が自分だけをずっと見てるって、勘違いしていればいい。 そんで、里に戻ったら自分の居場所がなくて、しょげるといい。 でも、やっぱり、ナル君がサスケを優しく抱きしめちゃうといい。 初めての人だもの。 それくらは、許してあげたい二人です。

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