*大人シカマルとちびナル 「なる、しかのことだいすきよ?」 そういって笑う幼子を守れる自分でありたいと思う。 ナルトは、腹に九尾を抱えている。 けれど、ソレが何だというのか。 ナルトの監視役に指名されたとき、俺はナルトに興味はなく。 ただ、いつもどおりの任務として受けた。 『めんどくせぇけど、お前の担当になった奈良シカマルだ。よろしく頼むぜ』 と、至極面倒そうな顔で挨拶したことを覚えている。 でかい目をぱちくりとさせたあいつの顔。 今となっては、あのときの自分を殴り飛ばしてやりたい。 最初は、子供の扱いなど分からず、四苦八苦したが、持ち前の器用さで乗り切った。 ナルトが異常なほど聡かったのもあるけれど。 時間がたつにつれて、ナルトは笑うようになったし、しゃべるようになった。 一つ一つ教えてやれば、不器用ながらもちゃんと理解した。 カカシさんのお気に入りが、ナルトだということを知ったのも偶然だった。 そして、ナルトの笑顔に癒されている自分が居ることにも気がついた。 + + + + + いつものように、シカマルが居ない時間を見つけては、ナルトの元に訪れるカカシ。 けれど、最近、お気に入りのナルトは同じ事をいう。 「なるねー、しかのこと、だいすきー!」 何がどうして、こんなことをいうようになったのか。 ちょっと、前までは、かぁしとけっこんするー、っていっていたのに。 (勿論、そういうように教えたけれど) カカシは、笑顔が引きつりながらも、ナルトにたずねる。 「ナルトは、何でシカマルがいいのかな?」 「えっとねー、しかね、なるみてね、ふわってわらうの」 ふわふわよー。 といって笑うナルトを見て、思わず、その腕に抱きしめる。 あまりの可愛さに、監禁プランすら立ててしまうくらいに。 現在ナルトは、火影様の別邸に住んでいる。 しかし、生まれてこの方、屋敷の外に出たことはない。 すでに、監禁されているといってもよい状況だけれど、カカシは気にしない。 「ねぇ、ナルト。俺のことは好き?」 「かぁし?」 「そう」 「かぁしもね、すきよー」 カカシの膝の上で笑うナルトにそうかそうか。と、満足げなカカシ。 次の言葉がなければ、完璧だったに違いない。 「でも、しかがいちばんすきよ?」 「ナルトお前な、そういうのは疑問系じゃなくて、断定で言えよな」 「しかー!」 カカシの腕から飛び出して行きたいナルトは、小さい手を突っ張って出ようと試みる。 しかし、悲しいかなびくともしない。 「かぁし、なる、しかのとこいきたいってば」 「ナルトは俺を置いていっちゃうの?」 「…う〜。だって、だって」 「置いてかないでよ」 「ふぇ…」 「いい大人が何してんすか」 言葉とともに、カカシの腕の中からナルトが消える。 じと目で振り返れば、愛しのナルトはシカマルの腕の中。 「俺とナルトの邪魔しないでくれるかな?」 「ナルトは俺のことを選んだんですから、ご退場いただけますか。はたけ上忍」 見えないようで、しっかり見える火花を散らす二人をよそにナルトは満面の笑み。 軍配は完全に決まっている。 (愛し子を見る目は蕩ける微笑みで)
チビちゃんかわいい。 ナル君だけちっちゃくするとみんなにもみくちゃにされる。 だが、それがいい。
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