34 戯れる

バトルウルフのテリーの背中に顔をうずめる小松。 その小松とテリーの間にはウォールペンギンのユンユン。 数分前までは、1人と2匹で楽しく戯れていたのだが、日ごろの疲れと暖かな午後の陽射しのせいか いつの間にか、寝付いてしまった小松に寄り添うように一緒に日向ぼっこを始めてしまった。 『ホントに、テリーの毛並みは気持ちいいね』 そういって、テリーの背をなでていた小松の手が止まり。 不思議に思ったテリーが後ろを覗くと、背中で気持ち良さそうに眠っている小松の姿。 まぁ、いいかと自身も前足に頭を乗せ寝始める。 自慢の尻尾を小松にかけることを忘れずに。 それに続いて、ユンユンが小松の腹にもぐりこみ寝息を立てる。 「こまつー!」 何も知らないトリコが小松の名前を呼ぶが返事が来ない。 テリーが一緒にいるので万が一と云うことは考えにくいが、スイートハウスを出て庭を見渡す。 そこには、気持ち良さそうに日向ぼっこをしている1人と2匹。 大陸の王者も。 氷山の覇者も。 この小さな料理人の前では、安心しきった顔をしている。 それは、主人である、トリコの前でも同じだけれど。 小松の元へ静かに歩み寄る。 トリコの足音にテリーが気付き顔だけを向ける。 勿論、背中で眠る小松を起こさないように気をつけて。 なんだ?といわんばかりの相棒を見て、トリコは苦笑する。 どうにもこうにも、俺たちはこの料理人に心底、惚れているらしい。 「テリー、小松は俺のだ」 「…ワゥ」 トリコの言葉に抵抗するように、テリーが器用に小松を引き寄せる。 成長の早いテリーの身長は、すでに小松のそれを越している。 小松がウォールペンギンの子供を抱えていようとあまり関係ない。 テリーから小松を奪還しようと手を伸ばすと、 「…トリ…コさん…けんか・しちゃ…だめですよ…」 絶妙のタイミングで小松がつぶやく。 寝言なのか、寝ぼけてなのか分からないが、小松が小さく声を漏らす。 その言葉に、それ見たことかとテリーが軽く鼻を鳴らす。 何だか面白くない気分になったが、仕方ないので、小松をはさんでトリコも寝転ぶ。 暖かな午後の陽射しと柔らかな風。 鼻腔をくすぐるのは、小松の匂い。 次第に眠くなり、トリコも目を閉じた。 (ちょっ!これ、どうなってるんだ!!) 目を醒ました小松が、慌てるまで、あと少し。


皆でお昼寝。 ウォールペンギンの子供に名前がなかったので、 妄想して勝手につけました。

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