金色の髪。 空色の瞳。 捕らわれたのは彼ではなく。 多分、俺たちだ。 デイダラが捕まえてきた九尾の人柱力。 思いのほか抵抗したらしく、仕方なく眠らしたらしい。 オレンジ色の忍として相応しくない色を纏った彼。 泥がついてどろどろになったソレ。 後ろ手に縛られ、床に転がされている。 縄抜け出来ないように縛って。 見張りもなく、転がされていた。 「・・・・っう・・・」 気が付いたのか、身じろぎをした。 「お目覚めか。」 俺の声に反応して、つい、と上げられた顔。 射抜くような強い瞳。 昔、俺が憬れたあの人と同じ光。 今は俺の傀儡になった、亡き三代目風影。 「こんな状態で、いい度胸だな。」 誰も助けには来ない。 人柱力となったものを助けたいと思うものなど居ない。 彼らが居なくなったことを喜ぶ者が居たとしても。 ソレの逆はありえない。 そんな状況でどうして、こんなにも強く居られる? 絶望に染まらない強い瞳。 メラメラと燃える炎のように瞳の奥が光っている。 手負いの獣とは違う。 それとは違う強い光を宿している。 連れていた傀儡を使って立たせる。 「放せってばよ!!」 「粋がるな。」 「俺ってば、ここから抜け出して木の葉に帰るんだってば!!!」 「出られると思っているのか?」 「ぜってぇー抜け出す。」 「やれるものならやってみろ。」 「後で吠え面かくなってばよ!!!!」 傀儡に支えさせていた身体から手を離す。 ズシャッ と盛大な音を立てて九尾の人柱力は床に倒れた。 きっと睨みつける瞳はいっそう強さを増した。 その瞳はいつか絶望に染まるのか。 「あ〜あ。俺ってばなんで暁のメンバーになってんだろ。」 「お前が望んだからだろ。」 「そうなんだけど。最初はここで力つけて暁壊滅させて里に帰ろうと・・・」 バコッ 「いてっ!!!」 「お前ごときに壊滅させられるか。」 「叩くことねぇーってばよ!?」 バコッ 「うるせぇ。」 「だから、叩くなってばよ!!!」 「旦那、ナルナルの頭が悪くなったらどうするんだ、うん?」 「元々悪いんだ。今更変わらん。」 「サソリひっでぇーってばよ!!デイダラも!!」 「ナルナル怒るなって、うん。」 サソリの部屋にナルトとデイダラは居た。 最初は傀儡の整備をしていたサソリの元にナルトが遊びに来て。 くだらない話を一方的にナルトがしていたのだ。 その内、相槌にも飽きてきたサソリが、返事の代わりに傀儡で ナルトの頭を叩いていたのだ。 そして、そこにデイダラが勝手知ったる顔で入室。 「そう言えば、今日は音の里のサスケだって?イタチの弟の。あれ来ないな、うん。」 「毎日来られても、うざいだけだってば。」 「来ても追い返されるのに。ご苦労な奴だ。」 「しかも、オイラのナルナルに求婚しに来るのがいい度胸だよな、うん。」 「お前のじゃねぇ。俺のだ。」 だんだんと雲行きの怪しくなる会話。 コレも、毎日のことなのでナルトは気にしない。 「ナルナルは旦那のじゃないぞ、うん。オイラのだ。」 「うるせぇ。イカレ。」 一触即発。 しかし、ナルトは止めない。 最初はそうしていたが、今では毎日の運動程度に思っている。 デイダラの左手が粘土を飲み込む。 サソリは整備していたパーツをはめ込む。 「爆発させるぞ、うん?」 「ちょうど整備が終わったから、相手してやる。」 「「いくぞ!!!(、うん!!!!)」」 「あ〜ぁあ。」 「ナルトさんも大変ですね。」 苦労人の鬼鮫がナルトの後ろに立つ。 この後の部屋の片付けはいつも彼がやるからだ。 ナルトは鬼鮫を見上げる。 「鬼鮫のおっちゃん。」 「もう直、イタチさんの弟さん来ますよ。」 嬉しくない情報だ。 しかし、来るものは仕方ない。 排除しなければ。 「あ、アレ用意してくれたってば??」 「用意できてますよ。」 「有難うってばよ。」 「ナルト――――――――!!!!!」 「来たってばよ;」 「大変ですね、毎日。」 「ほんとだってばよ。いい加減諦めろっつうんだってば!」 ナルトは部屋を出て、走り来るライバル?を見た。 「は!わざわざ出迎えに来るとは、嫁としての態度は・・・・」 「うっせぇってばよ!!」 「照れるな!!」 「照れてない!!帰れ、害虫!!!!」 「そんなに、俺のことが好きなのかウスラトンカチ!!!」 「違げぇ!!!」 「ナルトさん!!」 「サスケ、死ね!!!!!」 鬼鮫に手渡されたものをナルトはサスケに投げつけた。 「ぎゃぁあああぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!」 見事ストライク。 納豆まみれになったサスケ。 即刻KO。 「ナルト君、いつもすみません。」 「ほんとだってばよ。ちゃんと監視しといてくれってばよ、カブトさん。」 「してるんですけど。逃げ出すんですよ。」 よいしょっと。 と納豆まみれのサスケに縄をくくりつけるカブト。 毎日、ここに来てはサスケを捕まえる。 連れ帰る、次の日また懲りもせず脱走。 「じゃ、今度何かお詫びに美味しいもの差し入れしますね。」 「それよりも、サスケをどうにかしろってばよ。」 「あははは・・・」 こうして、カブトはサスケを引きずって音の里に帰って行った。 「平穏な生活が懐かしいってばよ。」 捕らわれたのは果たして誰か。
喪中シリーズ第七夜です。 サスケが出てくるとどうしても虐めた・・・・ そんなわけで、例に習って彼は・・・。 家でのサスケの扱いはこんなもんです。ってお話でした。 嘘です。
≪戻る。