異世界パラレル/大人ナルト&子供表遊戯/宿主と闇人格別体/ 表遊戯=遊戯 裏遊戯=<遊戯>
街中はバレンタインムード一色でどの女の子を見ても、可愛らしいラッピングが 施されたチョコレートを手に抱いている。 意中の人に渡せたら大成功。 その街中を小さな紙袋を手に持って颯爽と歩いている金髪碧眼の男子が一名。 周りから、「モデル?」「格好いい」と云う声が聞こえるが一切無視。 この、周りの黄色い声さえも無視して猪突猛進している男。 名を『うずまきナルト』という。 彼の役職は木ノ葉の里六代目火影。 歳は二十二と数ヶ月。 粉雪がぱらぱらと舞い散っている中、ある場所を目指して歩いていた。 そう、それは街中を歩いている彼女たちと同じ目的で。 『でっかいナルトとちっさい相棒』 「雪が降ってくるなんて盲点だったてばよ」 はぁ。とため息を吐けば白い湯気がたった。 白いロングコートと茶色のカシミヤのマフラーをたなびかせながら急ぎ足でナルトは 目的地へと歩いていた。 可愛い恋人を待たせるなんて、男がするものじゃない。 しかも、俺は大人で相手は子供。 響きだけ聞くとなんだか変態じみているが、歳の差は5つ。 別にたいした差じゃない。 ただ、成人してるかしてないかの差ぐらいしかない。 精神年齢を聞かれたら、ものすごく離れているような気がしないでもない。 しかし、そんなことはどうでも良い。 重要なのは、お互いがお互いを愛しているかと云うことだけ。 「凍えてないといいけど」 駆け出してしまっても良かった。 走ればさほど時間もかからずにたどり着ける。 けれど、走らないでいるのにはわけがある。 俺の可愛い恋人は俺に全力で走って欲しくないらしい。 何でかとたずねたら、周りの人を驚かすからだとか何とか。 別に遅いと思ったことはないが、そこまで速いと思ったことはなかった。 しかし、この世界の常識と俺の世界の常識はどうやら違うらしく、俺は神速と言っても 過言ではない脚の持ち主らしい。 なので、俺は走る事無く競歩一歩手前で街中を歩いている。 寒いのはお互い苦手だ。 だから、少しでも速く傍に行きたい…。 「…っぁあ!!もう、限界だってば」 今だけ、約束を破るいけない俺を許して。 人気のなさそうな小道にさっと入り込むと、強めに地面を蹴った。 軽やかに跳躍した身体はいとも簡単にビルの屋上に到達した。 そこから先は、ただ目的地までの最短ルートを駆ける。 そして数分で、目的地に到着した。 ピンポーン 能天気な音を奏でるインターフォン。 ナルトは一切呼吸を乱しては居ない。 軽く手櫛をかけ、衣服の乱れを整える。 玄関にかけてくる愛らしい足音を聞きながら、ナルトは玄関の扉が開くのを待った。 しかし、駆け足の音とは反比例するように扉は一向に開かなかった。 (<遊戯>のヤツ、また性懲りも無く足止めしてんのかよ。相変わらず子供だな) 扉が開いたのはそれから5分経ってからだった。
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