あの後も汗をかいた様子はない。 寝汗さえもかいた様子がないようだ。 夕方急に降り出した夕立――この時でさえナルトは起きる気配を見せなかった―― も手伝って日が落ちてからだいぶ夜風も涼しくなった。 「汗かかねぇと体温下がんねーぞ」 「ベタベタして気持ち悪いって。ヤダよ」 「体内のタンパク質が体の熱で変化するぞ」 「え―――」 「無理矢理かかせても俺はかまわねーけど」 シカマルの危ない発言にナルトは視線を宙に漂わせた。 ふらふらと右へ左へ上へ下へ明後日の方角へ。 何処を見たいわけでもなく流されていた視線は、自分の両膝の間につかれていた 両手へと収束して 「…あぁ…うん。どうにかして自力で汗かかせて頂きます」 と言う発言へとナルトを導いた。 ナルトは先ほどのシカマルの発言通りになることを防ぐために何とか汗腺を操って 汗をかく努力をする。 忍として、汗腺を操ることは初期の行動で、体温の調節などもその場その場に合わ せることが出来るようになることで、レベルが上がった云々という基準にもなる。 下忍の間にはそこまで高度なことは要求されて居ないので、簡単な任務をこなして いく事で足腰を鍛えたり、忍耐力を付けたり。 里内の民間人との接点を持つことなどによって、結束を深めることを中心として 任務を遂行する。 このときの経験がにこの先続く辛い任務の中での楽しい思いでとして遺されるのだ。 そうやって段階を経て、中忍・上忍と上がって行くわけだ。 ナルトは当の昔にそんな楽しい記憶一切なしの状態で力をつけていたった。 物心ついた頃には完璧に気配も消せていたし、汗腺・体温の調節もこなしていた。 謂わばそんなことは日常の中に取り込まれてしまっていたので今更苦でもない。 …ハズだった。 しかし、今の状況を見てみれば必死に汗をかこうとしているのだから、暗部筆頭の名も 涙を流しているようなものだ。 仮面を被って下忍の任務でかく汗は自然と、さほど意識せずとも調節が出来るのに、 今はそれが難しい。 四苦八苦しながら、いつもはいとも簡単に出来ることを一生懸命になってシカマルの 見守る中、ナルトは汗をかいていた。 「ナル…色っぽい…」 突然発せられた言葉。 にわかに上気した肌が妙に艶めかしい。 必死に汗をかこうとしている姿は健気だが。 その眉間に皺を寄せながら苦悩の顔に歪んでいる表情が、いつもとは違うナルトを 表していて艶っぽい。 「何か…うん」 「…ナニ…っ言ってんだ…よ……」 汗をかこうと必死になっている自分の姿を尻目に妙なことを言い出したシカマルを 視界に入れて再びはずした。 何か、見てはいけないものを見てしまったような気になったからだ…。 「…だってよ…」 そんなナルトの気を知ってか知らずか、シカマルはナルトをひょいと抱き上げると 自分の膝の上に座らせた。 何するんだというナルトの視線も気にせずに、シカマルはナルトを腕に抱いたままの 状態で汗の筋が何筋か流れたナルトのうなじに唇を寄せた。 そしてそのまま、つつっと汗を舐め上げる。 「…っう…」 ナルトは嫌そうに身体を捻るが自分を拘束するシカマルの両腕の中から逃げること が出来ない。 執拗に繰り返されるシカマルの行為にナルトは身震いをする。 汗をかくために少し乱れていた呼吸が違う意味で乱れる。 何とかこの腕の中から抜け出そうともがくが、体調不良のせいか、元々の体格差の せいかシカマルの腕はびくともしない。 「…はなせ…って…」 「ヤダ。このまま無理して汗かくより、効果的に汗かこうぜ?」 「…遠慮するって…ば・・よ…」 「却下」 言うが早いか、シカマルはナルトの顎を掴み引き上げて口付ける。 驚きの余りナルトはその目を大きく開いた。 そのまま無理な体勢のまま、深く交じり合う。 互いの唾液が交じり合ってどっちがどっちの唾液だかも分からず。 喉に流れ込む唾液も自分の物なのか相手の物なのかも既に判断がつかない。 「…はぁ…」 ようやく離された口からは唾液の糸が引かれる。 何とか乱れた呼吸を元に戻そうと息を吸うナルトを目の前にして、シカマルは いけしゃあしゃあと言い放った。 「結構普通に受け入れてるじゃねぇか」 ナルトは思わず殴りたくなったが、今はそんな体力も残ってはいなかった。 というよりも恥ずかしいことに今ので、腰が立たなくなった。 シカマルにはそんな恥ずかしいことはいえないが、シカマルの事だきっとその ことにも気付いてるはず。 「…今日は勘弁し……」 今日は勘弁してください。と言う前にベッドに転がされて再び唇を塞がれていた。 言うまでもなくシカマルの唇で。 巧みにシカマルの舌がナルトの舌を絡め取る。 逃げようとすれば追いかけられてより深く口付けられる。 押し返そうとシカマルの胸についた両手は全く意味を為さず。 シカマルの手に掴まれて、指を絡められてしまった。 歯列の裏側をなぞる様に、左の奥歯、犬歯、前歯、犬歯、右の奥歯。 ぐるりと一周して、また辿る。 歯に性感帯なんて無い筈なのに、なぞられた歯がゾクゾクと疼く。 「…っふ…ぁ……」 生理的な涙が目尻に溜まって、流れ落ちる。 慣れたはずの快感に、ナルトは無意識にシカマルの手をぎゅっと握ってしまう。 それに応えてシカマルが優しく握り返す。 「…ぅ……ぁっ…」 こくりとナルトの喉が鳴ってシカマルの唾液を飲み込む。 飲みきれなかった唾液が口元からこぼれて、顎のラインを追って首筋に流れ落ちる。 ちゅっとかわいらしく唇を啄ばんでシカマルの唇が遠ざかっていく。 「テクニシャンで有名のナルトさんが大人しいなんて珍しいな?」 「…こっちは…やみ…あがりだ……」 「感度は良好みたいですけど?」 「……バカ…」 「お褒めの言葉と受け取らせて頂きます」 にっとたちの悪い笑顔を浮かべてシカマルはナルトの浴衣を脱がし始める。 生憎、両手が塞がっているので口で器用に浴衣紐の結び目をはずす。 月明かりの中に浮かび上がる白い肌。 日焼けしない体質なのかナルトは夏になっても白いままだった。 雪のように白く、絹のように木目細やか。 「優しくするから、な?」 ナルトの目を見て、シカマルは優しく笑う。 首筋に顔をうずめ何度か、啄ばむ様に口付け、そして強く吸い付く。 「…あっ…」 白い肌に紅い華が咲く。 俺のものだと証をつけて。 紅い華を咲かせ続ける。 そのまま鎖骨の窪みに降りて舌を這わせる。 先ほどかいた汗が咽返るようなナルトの体臭をシカマルの鼻に届ける。 甘い、痺れる様な匂い。 「…っふ…ぁ……シカ…あんまり…痕残さな・い…で……」 「ん?もうおせぇよ」 木目細やかで、女なんかよりよっぽど白く柔らかい。 シカマルはそのまま唇を下ろしていって、胸の突起に舌を這わす。 「っあ…ん…」 柔らかく歯を立てて、つんと立ったそれを咥える。 そのまま先端を舌で触るだけのふれあいを続ける。 そして、少し強く噛み付いた。 「…痛っ…シカ……いた…い」 それでも執拗に攻め立てて、ナルトと繋いでいた左手を離す。 その手で口付けをしていない突起を親指の腹で潰すようにして捏ねる。 潰して、つまんで捏ねて。 パターンを変えて何度も過剰に触り続ける。 「…シカ…やっ…ぃ……あ・ッ…」 「言葉とは裏腹に十分感じてるみたいですけど?」 「…ぁん…ゃだぁ……」 シカは、ナルトの体から少し顔を離すとぺろりと唇を舐めた。 ナルトはその姿を見て、顔を赤くした。 月明かりの下で、しなやかな黒髪をたらして。 いつもは眠そうな切れ長の瞳が、鋭く獣のように光る。 立場からいえば獲物の立場にあるはずなのに、見とれずにはいられない。 「あんまり見んなよ」 「…自惚・れて…んなよ…」 「元気そうじゃねぇか?じゃ、手加減なしで」 「…んん!!」 再び深く口付け、そのままナルトを貪りながら左手でわき腹や胸を撫で回し、 右手を下ろしていき、ナルトの中心に触れる。 上下に何回も抜く。 既に硬く立ち上がったそれの先端に爪を立てて引っかく。 「……っふ…ん…っ…」 くぐもった声がこぼれる。 軽い酸欠で頭がぼおっとするのに体の熱は納まりも見せないで、余計に火照る。 暑い…不快な暑さじゃなくて、もっと欲しい暑さ。 無意識に掴んでいたシーツから手をはずしてシカマルの首に腕を回す。 「…どうした?」 「…責任…持って…逝かせろよ?」 シカマルは一瞬狐につままれたような顔をしたがすぐに口角を少し引き上げ 不敵に笑った。 「仰せのままに」 シカマルは手で抜いていたナルトのものから手を離すと躊躇いもなく口に咥えた。 咄嗟に膝を閉じようとしたナルトの両膝をやんわりと両手で広げる。 「膝閉じるなよ」 「…ッふ…ん・咥えたまま…しゃべんな・ッ…」 そうかよ。といわんばかりにシカマルは吸い付いた。 裏を舌で舐め上げ、頭の部分に歯を立てる。 「…イ…くっ…」 「全部飲んでやるから出せよ」 追い討ちをかけるように強く吸い付いて、精射を促す。 「…ぁあぁぁぁあ…」 びゅくびゅくと白濁した液体をシカマルの口内に吐き出す。 何度体験しても慣れない快感に、ナルトはシカマルの髪に指を絡めて頭を押し着ける。 痙攣を起こしたように引き攣る足がシーツを力なく押し出す。 一滴も残さないように吸い上げるシカマルの器用さに感心する間もなく脱力する。 精射のせいか腰がだるい。 ナルトの脇に手をついて体を起こし、顔を上げたシカマルはごくりと喉を鳴らして ナルトの吐き出したものを全て飲み込んだ。 右手の腹で唇を拭うとそのままぺろりと舐めた。 「ごちそーさん」 「…っは…ぁ……」 「じゃ、お前だけ気持ち良いってのもあれだから。イれさせろよ?」 「…んぁ…」 脱力したままのナルトの両足を自分の肩に担ぎ上げると、精液で濡れた自分の指を 双丘を割り去って後口に差し入れる。 多少の抵抗は禁じえないが、二本目までは難なく根元まで受け入れた。 そして、勝手知ったる感じで、しこりを引っかく。 「…ひぁ…ん…く…」 体がざわつく。 慣れることない排泄感と熱。 吐き出してしまいたいほど気持ちが悪いのに。 受け入れてもっとと引きこもうとする淫乱さと。 どっちも自分の意識下にあるのに自分のものではないような感覚。 「…シカ…も…ッと…」 「もっとなんだよ?」 「…も…ッと…いっぱ…い・ほしぃ…」 「慣らしてやんないと…さす…がに痛い・だろ?」 「…へ…き…」 「あんまり可愛いこと言うと、加減忘れる」 二本だった指を三本に増やして、それでも傷付けたくない一心で念入りにしつこく 差し入れを繰り返す。 余りのじれったさにナルトの目から生理的な涙が絶えず流れ落ちる。 逝きたいのに、余っているシカマルの手が口を硬く止めて熱の開放を赦さない。 それなのに、シカマルは意地悪くたまに爪で尿道を引っかく。 体の中で熱が渦を巻いて、何がなんだか分からなくなって。 ナルトに刺し入れたシカマルの指を完全に飲み込むようになったのを確かめて、 一気に指を引き抜いた。 「…ぁぁあ…」 いきなりの虚無感にナルトの後口はひくつく。 ぐちょぐちょに乱れて、赤く誘い込むようにざわめくそこに口付けを落とし。 舌で蕾に入れ込んで、唾液で濡らしきる。 それから、ナルトの髪を梳いて顔を見る。 「痛かったら言えよ?」 「……シカなら…い…ぃ…」 「…ったく…イれるぞ?」 体が覚えている快感に打ち震える。 シカマルのが後口に押し当てられて、そのまま差し込まれる。 「……ぃ…ぁあ…ふぁ…っい…た・ぁ…ん…」 「大丈……夫…か…」 「…シカ…へ…き…だから…動いて……?」 シカマルはナルトの額にキスを一つ落とすとゆるゆると動き出す。 次第に激しく動き出すと、ぎしぎしとベッドが非難の声を上げるが気にしない。 抵抗するように締め付けてくる束縛に、逝きそうになるのを堪えて。 さっき攻め立てた性感帯を突き上げる。 「…ぁあぁあ…シカ…気持ち…い…」 「すっげ…あつ…」 吐き出すような締め付けが、内に誘い込むようになる。 シカマルはナルトを抱きしめたまま体を起こしてナルトを引き上げる。 とたんに深くなる挿入。 「…ッひぁ…あ……ぁっ…」 「…そんなに…締め付け…る・なよ…」 無意識にシカマルの腰に足を絡ませていて。 下から突き上げたれる度に自分のものとは思えない甘い声が上がる。 頭の先からつま先まで突き上げられているような感覚に陥る。 どっちが上でとか下でとかどうでも良くて。 シカマルが喰らい付いているのか。 ナルトが喰らい付いてるのか。 そもそもどっちが喰われているのかとか関係なく、互いに喰らい付く。 貪って。 溶け合って。 何もかも白くなる。 「…イきそ…ぉ……」 「一緒に…逝こう・ぜ?」 更に強く何回かピストンを繰り返し、 「…ぁぁぁあああぁあぁああ…」 ナルトがシカマルの腹に白濁の液体を吐き出すとそれを追うように 「…っく…」 息を詰めたシカマルがナルトの中に白濁した液体を吐き出した。 収め切れなかった精液が後口から流れ出る。 白いシーツに垂れたはずなのに、その白濁した精液は浮き出るような白さをかもし 出していた。 「…中…シカ・で…いっぱい…」 「俺もだよ」 乱れた息を整えもしないでそのまま深く口付ける。至上のひと時。 その後も、何度か逝った後一息ついて、体を清めた。 新たに用意された浴衣に袖を通し、乱れたベッドを綺麗にして。 抱き合うようにしてベッドに転がったまま、目を閉じて寝ようとして、 「そういや明日、合同任務だったな。」 「え?」 シカマルの口から、爆弾投下。 最悪な事態が待っているかもしれないとナルトは一瞬顔色を失う。 が、そんな事ないとすぐに体勢を立て直そうとする。 しかし、シカマルの口から更に追い討ち。 「下忍三班揃って合同任務」 「…マジかよ」 明日の任務がどうなろうと俺は傍観していようとナルトは一人心に誓った。 隣で自分を抱きしめて、髪に鼻をうずめている人がどうなろうとも。 傍観することに決めてしまった。 どうせ、腰が痛くて役には立たないのだろうから。 それに、今更そんなこと言うシカマルが悪い。
裏にせざるを得なくなった…げふんげふん。 何も語るまい。 熱い季節になると書きたくなるんだって。 今年の夏は、更新されるのかなぁ…。
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